えきのうらないしてかねとりだしたること
易の占いして金取り出したること

冒頭文

「易の占いして金(こがね)取り出だしたること」と題して『宇治拾遺』に出た話は、旅人が大きな荒れ家に宿を求むると、内には女一人しかないらしく、快くとめてくれた。夜あけて物食いに出掛けると、かの女が君は出で行くわけにゆかぬ、留まれ、と言った。何故と問うと、わが金(こがね)を千両君に貸しあるから返したのち出でゆけ、と言った。旅人の従者どもからかい半分、きっとそうだろうとまぜ返すを、旅人は真面目に止まって

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆82 占
  • 作品社
  • 1989(平成元)年8月25日