よくそうのはなよめ
浴槽の花嫁

冒頭文

1 英国ブラックプウルの町を、新婚の夫婦らしい若い男女が、貸間を探して歩いていた。彼らが初めに見にはいった家は、部屋は気に入った様子で、ことに女の方はだいぶ気が動いたようだったが風呂が付いていないと聞くと、男は、てんで問題にしないで、細君(さいくん)を促(うなが)してさっさと出て行った。コッカア街に、クロスレイ夫人という老婆が、下宿人を置いていた。つぎに二人は、このクロスレイ夫人の家へ行った

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 浴槽の花嫁-世界怪奇実話1
  • 現代教養文庫、社会思想社
  • 1975(昭和50)年6月15日