とうざいほくろこう
東西ほくろ考

冒頭文

東洋と西洋とは、その風俗習慣に就て、いろいろ異(かは)つた点が多い中で、特に黒子に関する観方ほど異(かは)つてゐるものはなからうと思はれる。日本では女の顔の黒子(ほくろ)などは美貌の瑕瑾(きず)として現に年頃の娘さんなどはそれを苦にしてわざわざ医師に頼んで抜いて貰ふものさへある位である。 然るに、処かはれば品かはるとは言ひながら、西洋では、黒子を美貌の道具立ての一つに数へて尊重してゐるの

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆40 顔
  • 作品社
  • 1986(昭和61)年2月25日