一 むかし後深草天皇(ごふかくさてんのう)の御代(みよ)に、玄翁和尚(げんのうおしょう)という徳(とく)の高(たか)い坊(ぼう)さんがありました。日本(にっぽん)の国中(くにじゅう)方々(ほうぼう)めぐり歩(ある)いて、ある時(とき)奥州(おうしゅう)から都(みやこ)へ帰(かえ)ろうとする途中(とちゅう)、白河(しらかわ)の関(せき)を越(こ)えて、下野(しもつけ)の那須野(なすの)の原(は