ぼうせつりん
防雪林

冒頭文

北海道に捧ぐ      一 十月の末だつた。 その日、冷たい氷雨(ひさめ)が石狩のだゞツ廣(ぴろ)い平原に横なぐりに降つてゐた。 何處(どつち)を見たつて、何んにもなかつた。電信柱の一列がどこまでも續いて行つて、マツチの棒をならべたやうになり、そしてそれが見えなくなつても、まだ平(たひら)であり、何んにも眼に邪魔になるものがなかつた。所々箒のやうに立つてゐる

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 防雪林・不在地主
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1953(昭和28)年6月25日