こころのおうじゃ
心の王者

冒頭文

先日、三田(みた)の、小さい学生さんが二人、私の家に参りました。私は生憎(あいにく)加減が悪くて寝ていたのですが、ちょっとで済む御話でしたら、と断って床から抜け出し、どてらの上に羽織を羽織って、面会いたしました。お二人とも、なかなかに行儀がよろしく、しかもさっさと要談をすまし、たちどころに引上げました。 つまり、この新聞に随筆を書けという要談であったわけです。私から見ると、いずれも十六七

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 太宰治全集10
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1989(昭和64)年6月27日