こころのおうじゃ |
| 心の王者 |
冒頭文
先日、三田(みた)の、小さい学生さんが二人、私の家に参りました。私は生憎(あいにく)加減が悪くて寝ていたのですが、ちょっとで済む御話でしたら、と断って床から抜け出し、どてらの上に羽織を羽織って、面会いたしました。お二人とも、なかなかに行儀がよろしく、しかもさっさと要談をすまし、たちどころに引上げました。 つまり、この新聞に随筆を書けという要談であったわけです。私から見ると、いずれも十六七くらい
文字遣い
新字新仮名
初出
「三田新聞 第四百二十八号」1940(昭和15)年1月25日
底本
- 太宰治全集10
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1989(平成元)年6月27日