一 ある時(とき)天子(てんし)さまがたいそう重(おも)い不思議(ふしぎ)な病(やまい)におかかりになりました。なんでも夜中(よなか)すぎになると、天子(てんし)さまのおやすみになる紫宸殿(ししいでん)のお屋根(やね)の上になんとも知(し)れない気味(きみ)の悪(わる)い声(こえ)で鳴(な)くものがあります。その声(こえ)をお聞(き)きになると、天子(てんし)さまはおひきつけになって、もうそ