おかのいえ
岡の家

冒頭文

岡の上に百姓(ひゃくしょう)のお家(うち)がありました。家がびんぼうで手つだいの人をやとうことも出来ないので、小さな男の子が、お父(とう)さんと一しょにはたらいていました。男の子は、まいにち野へ出たり、こくもつ小屋の中で仕事をしたりして、いちんちじゅう休みなくはたらきました。そして、夕方になるとやっと一時間だけ、かってにあそぶ時間をもらいました。 そのときには、男の子は、いつもきまって、

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1921(大正10)年12月

底本

  • 鈴木三重吉童話集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1996(平成8)年11月18日第1刷