かんえいあいあいがさ
寛永相合傘

冒頭文

一 つまらないことから、えて大喧嘩になる。これはいつの世も同じことだ。もっとも、つまらないことでなければ喧嘩なんかしない。隣家(となり)の鶏が庭へはいって来て、蒔(ま)いたばかりの種をほじくったというので、隣家へ談じ込んでゆくと、となりでは、あんたの犬が鶏を追い廻して困ると逆(さか)ねじを食わせる。そこで、こっちが、ええ面倒くせえ、やっちめえというんで、隣家の鶏をつぶして水たきにでもしている

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 一人三人全集Ⅱ時代小説丹下左膳
  • 河出書房新社
  • 1970(昭和45)年4月15日