げんろくじゅうさんねん
元禄十三年

冒頭文

問題を入れた扇箱      一 「いや、勤まらぬことはありますまい。」 土屋相模守は、じろりと二人を見た。 「勤まらぬといってしまえば、だれにもつとまらぬ。一生に一度のお役であるから、万事承知しておる者は、誰もないのです。みな同じく不慣れである。で、不慣れのゆえをもってこの勅使饗応役(ちょくしきょうおうやく)を御辞退なされるということは、なんら口実(こうじつ)にならんのです。御再考

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 一人三人全集Ⅱ時代小説丹下左膳
  • 河出書房新社
  • 1970(昭和45)年4月15日