あくたがわりゅうのすけかしゅう
芥川竜之介歌集

冒頭文

目次 紫天鵞絨/桐/薔薇/客中恋/若人/砂上遅日 紫天鵞絨 やはらかく深紫の天鵞絨(ビロウド)をなづる心地か春の暮れゆく いそいそと燕もまへりあたゝかく郵便馬車をぬらす春雨 ほの赤く岐阜提灯もともりけり「二つ巴」の春の夕ぐれ(明治座三月狂言) 戯奴(ジヨーカー)の紅き上衣に埃の香かすかにしみて春はくれにけり なやましく春は暮れゆく踊り子の金紗の裾に春は暮れゆく 春漏の水のひゞきかあ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 芥川龍之介全集 第一巻
  • 岩波書店
  • 1995(平成7)年11月8日