あおねこ
青猫

冒頭文

序      ◉ 私の情緒は、激情(パツシヨン)といふ範疇に屬しない。むしろそれはしづかな靈魂ののすたるぢやであり、かの春の夜に聽く横笛のひびきである。 ある人は私の詩を官能的であるといふ。或はさういふものがあるかも知れない。けれども正しい見方はそれに反對する。すべての「官能的なもの」は、決して私の詩のモチーヴでない。それは主音の上にかかる倚音である。もしくは裝飾音である。私は感

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第一卷
  • 筑摩書房
  • 1975(昭和50)年5月25日