ぜったいむじゅんてきじこどういつ
絶対矛盾的自己同一

冒頭文

一 現実の世界とは物と物との相働く世界でなければならない。現実の形は物と物との相互関係と考えられる、相働くことによって出来た結果と考えられる。しかし物が働くということは、物が自己自身を否定することでなければならない、物というものがなくなって行くことでなければならない。物と物とが相働くことによって一つの世界を形成するということは、逆に物が一つの世界の部分と考えられることでなければならない。

文字遣い

新字新仮名

初出

「思想 第202号」1939(昭和14)年3月

底本

  • 西田幾多郎哲学論集Ⅲ
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1989(昭和64)年 12月18日