だいぼさつとうげ 15 まんしんおしょうのまき
大菩薩峠 15 慢心和尚の巻

冒頭文

一 お銀様は今、竜之助のために甲陽軍鑑の一冊を読みはじめました。 「某(それがし)は高坂弾正(かうさかだんじやう)と申して、信玄公被管(ひくわん)の内にて一の臆病者也、仔細は下々(しもじも)にて童子(わらべこ)どものざれごとに、保科(ほしな)弾正鑓(やり)弾正、高坂弾正逃(にげ)弾正と申しならはすげに候、我等が元来を申すに、父は春日大隅(かすがおほすみ)とて……」

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 大菩薩峠4
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1996(平成8)年1月24日