だいぼさつとうげ 13 にょほうあんやのまき |
大菩薩峠 13 如法闇夜の巻 |
冒頭文
一 お君は、やがて駒井能登守の居間へ通されました。 能登守の居間というのは、そこへ案内されたお君が異様に感じたばかりでなく、誰でもこの居間へ来たものは、異様の念に打たれないわけにはゆかないものであります。それは畳ならば六十畳ほどの広さを持った居間に、畳を敷いてあるのでなく、板張りにして絨氈(じゅうたん)のようなものが敷き詰められてありました。 その広い室の中央と片隅と
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 大菩薩峠4
- ちくま文庫、筑摩書房
- 1996(平成8)年1月24日