たいしゅうぶんげいさほう
大衆文芸作法

冒頭文

第一章 大衆文芸の定義 一体、定義というものを、物の進行中に、未だ完成されていない未発達の状態にある時は与える事はむずかしい。現在進行しつつある、発達の過程にはあるが未だ充分発達したとはいえない、大衆文芸に対して、現在のままの姿へ、定義というものを与えたなら——それは、与え得ても、直ちに不満足なものになって了うであろうと思われる。 併し、もしその将来を想像して、かく成るべき物が、大

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 直木三十五作品集
  • 文芸春秋
  • 1989(平成元)年2月15日