そうまのあだうち
相馬の仇討

冒頭文

一 「軍右衛門、廉直にして」、「九郎右衛門後(のち)に講釈師となる」 廉直などと云う形容詞で書かれる男は大抵堅すぎて女にすかれない。武士であって後に講釈師にでも成ろうという心掛けの男、こんなのは浮気な女に時々すかれる。 そこで、軍右衛門の女房は浮気者であったらしく、別腹の弟九郎右衛門といい仲に成ってしまった。寛延二年の暮の話である。翌年の三月、とっくから人の口にはのぼって独り「廉

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 仇討二十一話
  • 大衆文学館、講談社
  • 1995(平成7)年3月17日