くさとり
草とり

冒頭文

一 六、七、八、九の月は、農家は草と合戦(かつせん)である。自然主義の天は一切のものを生じ、一切の強いものを育てる。うつちやつて置けば、比較的脆弱(ぜいじやく)な五穀蔬菜は、野草(やさう)に杜(ふさ)がれてしまふ。二宮尊徳の所謂「天道すべての物を生ず、裁制補導(さいせいほだう)は人間の道」で、こゝに人間と草の戦闘が開かるるのである。 老人、子供、大抵の病人はもとより、手のあるものは

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆94 草
  • 作品社
  • 1990(平成2)年8月25日