しょうせつ ほととぎす |
小説 不如帰 |
冒頭文
第百版不如帰の巻首に 不如帰(ふじょき)が百版になるので、校正かたがた久しぶりに読んで見た。お坊っちゃん小説である。単純な説話で置いたらまだしも、無理に場面をにぎわすためかき集めた千々石(ちぢわ)山木(やまき)の安っぽい芝居(しばい)がかりやら、小川(おがわ)某女の蛇足(だそく)やら、あらをいったら限りがない。百版という呼び声に対してももっとどうにかしたい気もする。しかし今さら書き直すの
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 小説 不如帰
- 岩波文庫、岩波書店
- 1938(昭和13)年7月1日、1971(昭和46)年4月16日第34刷改版