みみずのたわこと
みみずのたはこと

冒頭文

[#キャプション]恒春園南面[#キャプション終わり] 故人に 一 儂(わし)の村住居(むらずまい)も、満六年になった。暦(こよみ)の齢(とし)は四十五、鏡を見ると頭髪(かみ)や満面の熊毛に白いのがふえたには今更(いまさら)の様に驚く。 元来田舎者のぼんやり者だが、近来ます〳〵杢兵衛(もくべえ)太五作式になったことを自覚する。先日上野を歩いて居たら、車

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • みみずのたはこと(下)
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1938(昭和13)年6月1日、1977(昭和52)年11月16日第20刷改版