かそうじんぶつ
仮装人物

冒頭文

一 庸三(ようぞう)はその後、ふとしたことから踊り場なぞへ入ることになって、クリスマスの仮装舞踏会へも幾度か出たが、ある時のダンス・パアティの幹事から否応(いやおう)なしにサンタクロオスの仮面を被(かぶ)せられて当惑しながら、煙草(たばこ)を吸おうとして面(めん)から顎(あご)を少し出して、ふとマッチを摺(す)ると、その火が髯(ひげ)の綿毛に移って、めらめらと燃えあがったことがあった。そ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 現代日本文学館8 徳田秋声
  • 文藝春秋
  • 1969(昭和44)年7月1日