しゅくず
縮図

冒頭文

日蔭(ひかげ)に居(お)りて 一 晩飯時間の銀座の資生堂は、いつに変わらず上も下も一杯であった。 銀子と均平とは、しばらく二階の片隅(かたすみ)の長椅子(ソファ)で席の空(あ)くのを待った後、やがてずっと奥の方の右側の窓際(まどぎわ)のところへ座席をとることができ、銀子の好みでこの食堂での少し上等の方の定食を註文(ちゅうもん)した。均平が大衆的な浅草あたりの食堂へ入ること

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 現代日本文学館8 徳田秋声
  • 文藝春秋
  • 1969(昭和44)年7月1日