えんしげいだん
燕枝芸談

冒頭文

○ 本年三月十一日、私は寄席を引退するといふことを日本橋倶楽部で披露いたしました。その事は既に新聞でも御承知の通りでありますが、抑々私が噺家にならうといふ心持を持つたのはどういふ動機からであるか、先づそれからお話を初めたいと思ひます。 どだい私は芸人の家に生れたものでは無く親は三縁山増上寺の法衣の御用を足して居りまして、代々芝の仲門前に住んでをりました。ところが父の代に、親の恥を言

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆 別巻29 落語
  • 作品社
  • 1993(平成5)年7月25日