ふとん |
| 蒲団 |
冒頭文
一 小石川の切支丹坂(きりしたんざか)から極楽水(ごくらくすい)に出る道のだらだら坂を下りようとして渠(かれ)は考えた。「これで自分と彼女との関係は一段落を告げた。三十六にもなって、子供も三人あって、あんなことを考えたかと思うと、馬鹿々々しくなる。けれど……けれど……本当にこれが事実だろうか。あれだけの愛情を自身に注いだのは単に愛情としてのみで、恋ではなかったろうか」 数多い感情ずくめの手紙
文字遣い
新字新仮名
初出
「新小説」春陽堂書店、1909(明治40)年9月号
底本
- 蒲団・重右衛門の最後
- 新潮文庫、新潮社
- 1952(昭和27)年3月15日