いなかきょうし |
| 田舎教師 |
冒頭文
一 四里の道は長かった。その間に青縞(あおじま)の市(いち)のたつ羽生(はにゅう)の町があった。田圃(たんぼ)にはげんげが咲き、豪家(ごうか)の垣からは八重桜が散りこぼれた。赤い蹴出(けだ)しを出した田舎(いなか)の姐(ねえ)さんがおりおり通った。 羽生からは車に乗った。母親が徹夜(てつや)して縫ってくれた木綿(もめん)の三紋(みつもん)の羽織に新調のメリンスの兵児帯(へこおび)、車夫は色の
文字遣い
新字新仮名
初出
「田舎教師」佐久良書房、1909(明治42)年10月
底本
- 田舎教師 他一編
- 旺文社文庫、旺文社
- 1966(昭和41)年8月10日