水莽(すいぼう)という草は毒草である。葛(かずら)のように蔓生しているもので、花は扁豆(へんとう)の花に似て紫である。もし人が誤って食うようなことでもあるとたちどころに死んだ。そして、その水莽草を食って死んだ者の鬼(ゆうれい)を水莽鬼(すいぼうき)というのであるが、言い伝えによると、この鬼は輪廻(りんね)を得て来世に生れてくることができないので、その草を食って死ぬる者のあるのを待っていて自分の代り