すいぼうそう
水莽草

冒頭文

水莽(すいぼう)という草は毒草である。葛(かずら)のように蔓生しているもので、花は扁豆(へんとう)の花に似て紫である。もし人が誤って食うようなことでもあるとたちどころに死んだ。そして、その水莽草を食って死んだ者の鬼(ゆうれい)を水莽鬼(すいぼうき)というのであるが、言い伝えによると、この鬼は輪廻(りんね)を得て来世に生れてくることができないので、その草を食って死ぬる者のあるのを待っていて自分の代り

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(二)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年8月4日