とうし
竇氏

冒頭文

不意に陽がかげって頭の上へ覆(おおい)をせられたような気がするので、南(なん)三復(ふく)は騎(の)っている驢(ろば)から落ちないように注意しながら空を見た。空には灰汁(あく)をぶちまけたような雲がひろがって、それを地にして真黒な龍のような、また見ようによっては大蝙蝠(おおこうもり)のような雲がその中に飛び立つように動いていた。そのころの日和癖(ひよりくせ)になっている驟雨(とおりあめ)がまた来そ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(二)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年8月4日