せいこしゅ
西湖主

冒頭文

陳弼教(ちんひつきょう)は幼な名を明允(めいいん)といっていた。燕(えん)の人であった。家が貧乏であったから、副将軍賈綰(こかん)の秘書になっていた。ある時賈に従って洞庭に舟がかりをしていると、たまたま大きな猪婆龍(ちょばりゅう)が水の上に浮いた。賈はそれを見て弓で射た。矢はその背に中(あた)った。他に小さな魚がいて龍のしっ尾を銜(ふく)んで逃げなかった。そこで龍とその魚を獲って、じょうをおろして

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(二)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年8月4日