陵陽(りょうよう)の朱爾旦(しゅじたん)は字(あざな)を少明(しょうめい)といっていた。性質は豪放であったが、もともとぼんやりであったから、篤学の士であったけれども人に名を知られていなかった。 ある日同窓の友達と酒を飲んでいたが、夜になったところで友達の一人がからかった。 「君は豪傑だが、この夜更けに十王殿へ往って、左の廊下に在る判官をおぶってくることができるかね、できたなら皆で金