かかこうしゅ
荷花公主

冒頭文

南昌(なんしょう)に彭徳孚(ほうとくふ)という秀才があった。色の白い面長な顔をした男であったが、ある時、銭塘(せんとう)にいる友人を訪ねて行って、昭慶寺(しょうけいじ)という寺へ下宿していた。 その彭は、ある日西湖(せいこ)の縁を歩いていた。それは夏の夕方のことで、水の中では葉を捲いていた蓮の葉に涼しい風が吹いて、ぎらぎらする夕陽の光も冷たくなっていた。聖因寺(せいいんじ)の前へ行ったと

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(二)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年8月4日