至正丙戌(しせいへいじゅつ)の年のことである。泰州に何友仁(かゆうじん)という男があって、学問もあり才気もあり、それに家柄もよかったが、運が悪くて世に出ることができないので、家はいつも貧乏で困っていたが、その年になってまた一層の窮乏に陥り、ほとんど餓死しなくてはならないという境遇に立ち至った。で、友仁は城隍司(じょうこうし)に祷(いの)って福を得ようと思って、ある夜その祠(ほこら)へ往った。