れいこせいめいむろく
令狐生冥夢録

冒頭文

令狐譔(れいこせん)という儒者があった。非常な無神論者で、鬼神変化(きじんへんげ)幽冥果報(ゆうめいかほう)というようなことを口にする者があると、かたっぱしから折破(せっぱ)して、決して神霊の存在を許さなかった。それに生れつき剛直で世に恐れるものがなかったので、傲誕自得(ごうたんじとく)という有様であった。 譔の家の近くに烏老(うろう)という富豪があった。その烏老はありあまる身分でありな

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(一)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年5月6日