唐の高宗の時に柳毅(りゅうき)という書生があった。文官試験を受けたが合格しなかったので、故郷の呉に帰るつもりで涇川(けいせん)の畔(ほとり)まで帰ってきたが、その涇川の北岸に同郷の者が住んでいた。毅はまず知人の許(もと)へ立ち寄り、やがて別れて六七里も行ったところで、路傍におりていた鳥の群がばたばたと立って飛んだので、馬がその羽音に驚いて左へそれて走った。そして六七里も矢のように行ったかと思うと、