りゅうきでん
柳毅伝

冒頭文

唐の高宗の時に柳毅(りゅうき)という書生があった。文官試験を受けたが合格しなかったので、故郷の呉に帰るつもりで涇川(けいせん)の畔(ほとり)まで帰ってきたが、その涇川の北岸に同郷の者が住んでいた。毅はまず知人の許(もと)へ立ち寄り、やがて別れて六七里も行ったところで、路傍におりていた鳥の群がばたばたと立って飛んだので、馬がその羽音に驚いて左へそれて走った。そして六七里も矢のように行ったかと思うと、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(一)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年5月6日