そばもち
蕎麦餅

冒頭文

唐の元和年中のことであった。許州(きょしゅう)の趙季和(ちょうきか)という男が東都に往く要事が出来たので、家を出て卞州(べんしゅう)の西になった板橋店(はんきょうてん)まで往った。 その板橋店には三娘子(じょうし)という宿屋があった。そこには三娘子という独身者の寡婦がいて、永い間旅人に食物を売る傍ら、数多(たくさん)の驢馬を飼って非常に安価で売るので、板橋店の三娘子といえば驢馬の店として

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(一)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年5月6日