かこうとしょうり
賈后と小吏

冒頭文

盗尉部(とういぶ)の小吏に美貌の青年があった。盗尉部の小吏といえば今なら警視庁の巡査か雇員というところだろう。そして、その青年は厮役(しえき)の賤を給し升斗(しょうと)の糧を謀ったというから、使丁(こづかい)か雑役夫位の給料をもらって、やっと生活していたものと見える。 その美貌の青年が某日(あるひ)、晋の都となっている洛陽の郊外を歩いていた。上官の命令で巡回していたか、それとも金の工面(

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(一)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年5月6日