びじょをぬすむきじん
美女を盗む鬼神

冒頭文

梁(りょう)の武帝の大同の末年、欧陽紇(おうようこつ)という武人が、南方に出征して長楽という処に至り、その地方の匪乱(ひらん)か何かを平定して、山間嶮岨(さんかんけんそ)の地へ入った。その紇は陣中に妻を携えていたが、その女は色が白く顔が美しかった。するとその地方の人が、 「君は何故美女を携えてここへ来た、ここには鬼神があって、美女と見れば必ず盗むので、往来の者でこの難に罹(かか)る事がある、

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 中国の怪談(一)
  • 河出文庫、河出書房新社
  • 1987(昭和62)年5月6日