あなたは文藝春秋九月号に私への悪口を書いて居られる。「前略。——なるほど、道化の華の方が作者の生活や文学観を一杯に盛っているが、私見によれば、作者目下の生活に厭(いや)な雲ありて、才能の素直に発せざる憾(うら)みあった。」 おたがいに下手な嘘はつかないことにしよう。私はあなたの文章を本屋の店頭で読み、たいへん不愉快であった。これでみると、まるであなたひとりで芥川賞をきめたように思われます