ぎょうこう
暁光

冒頭文

去年の九月に、只一人の妹を失った事は、まことに私にとっては大打撃であって、今までに且つて経験した事のない悲しみと、厳かさを感じさせられた。 「時」のたゆみない力のために、それについての事々が記憶から、消される時のあるのを思うて、書いた「悲しめる心」は、それを見る毎に、涙がこぼれる様な、痛ましい記録となって、私の傍に残って居る。 自分が、非常に望をかけて居た者を、不意に、素方(そっぽ)か

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第三十巻
  • 新日本出版社
  • 1986(昭和61)年3月20日