こうようさんじんといちようじょし
紅葉山人と一葉女史

冒頭文

今まで、紅葉山人の全集をすっかり読んだ事がなかった。 こないだ叔父の処へ行って二冊ばかり借りて来て、初めて、四つ五つとつづけて読んで居る内にフト気づいた事がある。 それは、一葉全集をよんで感じたと同じ事である。 いかにも立派な筆を持って居られた、と云う事は両方を見て等しく感じる事である。 筆をつけて居る時の苦心の名残は、つゆほどもなく、スラスラと、江戸前のパ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第三十巻
  • 新日本出版社
  • 1986(昭和61)年3月20日