よざむ
夜寒

冒頭文

めっきり夜寒になった。 かなり長い廊下を素足で歩きにくくなった。 昼ま、出して置いた六六鉢の西洋葵を入れずに雨戸をしめた事を思い出した。 たった五六本ほかなく、それも黄ない葉が多くなって居るのを今夜中つめたい中に置いたらどうだろう、青い細い葉柄がグンニャリと首をたれて黄葉も多くなるに違いない。 私は仕かけた筆を置いて地震戸からそとに出る。 ひどい霧

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第三十巻
  • 新日本出版社
  • 1986(昭和61)年3月20日