わがはんせいをかたる
わが半生を語る

冒頭文

生い立ちと環境 私は田舎のいわゆる金持ちと云われる家に生れました。たくさんの兄や姉がありまして、その末ッ子として、まず何不自由なく育ちました。その為に世間知らずの非常なはにかみやになって終いました。この私のはにかみが何か他人(ひと)からみると自分がそれを誇っているように見られやしないかと気にしています。 私は殆(ほとん)ど他人には満足に口もきけないほどの弱い性格で、従って生活力も零

文字遣い

新字新仮名

初出

「小説新潮」1947(昭和22)年11月1日発行

底本

  • 太宰治全集10
  • ちくま文庫、筑摩書房
  • 1989(平成元)年6月27日