やまさきとみえのにっきをめぐって
山崎富栄の日記をめぐって

冒頭文

芥川龍之介が自分の才能とか学識を越えて社会と文学そのものの大きい変化と発展を見通して、そこから来る漠然とした不安を感じて死んだのと、太宰氏の生涯の終り方とは、まったく別種のものです。芥川の死は人生と芸術の大きさに対する確信がこめられていました。たとえ自分は死んでも、そこには発展がありました。太宰氏の死は、自分で知らずに咲いた花が、その花なりに散ったことでしょう。 私は女として夫人のお気持

文字遣い

新字新仮名

初出

「週刊朝日」1948(昭和23)年7月25日号

底本

  • 宮本百合子全集 第三十巻
  • 新日本出版社
  • 1986(昭和61)年3月20日