れきしとぶんがく
歴史と文学

冒頭文

文学と歴史とのいきさつは、極めて多面で動的で、相互の連関の間に消長して行っているのが実際だと思う。 この頃は、世界が一つの大きい転換に立っているということから、おのずから歴史への関心がたかまって、文学と歴史との課題もあちこちでとりあげられているのだが、文学における歴史の関係は、直接歴史を題材にした歴史文学だけの範囲にとどまらないところに私たちの考えるべき面白さがある。 歴史とは

文字遣い

新字新仮名

初出

「月刊文章」1941(昭和16)年5月号

底本

  • 宮本百合子全集 第三十巻
  • 新日本出版社
  • 1986(昭和61)年3月20日