きょうさんとうこうはんをぼうちょうして
共産党公判を傍聴して

冒頭文

三月十五日は三・一五の記念日だから共産党の公判を傍聴に行こうとお友達○○○さんに誘われました。わたしはこれまで新聞で公判のことをときどき読んでいましたが、どうもよく本当の様子が分りませんでした。正直に云うとこわいもの見たさのような気もあって○○○さんと一緒に東京地方裁判所へ出かけました。 分りにくい建物の細い横のようなところから廊下をとおって、先ず公衆待合室というところへ行きました。外見

文字遣い

新字新仮名

初出

「働く婦人」日本プロレタリア文化連盟、1932(昭和7)年4月号

底本

  • 宮本百合子全集 第三十巻
  • 新日本出版社
  • 1986(昭和61)年3月20日