たびへでて
旅へ出て

冒頭文

旅へ出て 四月の三日から七日まで私は東北の春のおそい——四方山で囲まれた小村の祖母の家へ亡祖父の祭典のために行った。 見たままを——思ったままを順序もなく書き集めた。 四日の旅をわすれたくないので——。 利根川の青き水の面に白き帆の   水鳥の如舞ひつゝも行く 荒れし地を耕す鍬の手を止めて   汽車の煙りを見守れる男 田舎道乗合馬車の砂煙り  

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第二十八巻(習作一)
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年11月25日