おじょろうぐも
お女郎蜘蛛

冒頭文

若い娘の命をとる事もまっしろな張のある体をめちゃめちゃにする事でも平気なかおでやってのける力をもった刀でさえ錦の袋に入った大店の御娘子と云うなよやかな袋に包まれて末喜の様な心もその厚い地布のかげにはひそんで何十年の昔から死に変り生きかわりした美くしい男女の夢から生れた様なあでやかさばかりを輝かせて育った娘の名はお龍と云う。十五六の頃からチラッと心の底に怪しい光りもののあるのを親達は見つけた。その光

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 宮本百合子全集 第二十八巻(習作一)
  • 新日本出版社
  • 1981(昭和56)年11月25日