げんろくじだいしょうせつだいいっかん「ほんちょうにじゅうふこう」ぬきほ(げんぶんいっちやく) |
元禄時代小説第一巻「本朝二十不孝」ぬきほ(言文一致訳) |
冒頭文
跡のはげたる娌入長持 聟入、娌取なんかの時に小石をぶつけるのはずいぶんらんぼうな事である。どうしたわけでこんな事をするかと云うと是はりんきの始めである。人がよい事があるとわきから腹を立てたりするのも世の中の人心で無理もない。自分の子でさえ親の心の通りならないで不幸者となり女の子が年頃になって人の家に行き其の夫に親しくして親里を忘れる。こんな風儀はどこの国に行っても変った事はない。
文字遣い
新字新仮名
初出
底本
- 宮本百合子全集 第二十八巻
- 新日本出版社
- 1981(昭和56)年11月25日