せいぎとびしょう
正義と微笑

冒頭文

わがあしかよわく  けわしき山路(やまじ) のぼりがたくとも  ふもとにありて たのしきしらべに  たえずうたわば ききていさみたつ  ひとこそあらめ さんびか第百五十九 四月十六日。金曜日。 すごい風だ。東京の春は、からっ風が強くて不愉快だ。埃(ほこり)が部屋の中にまで襲来し、机の上はざらざら、頬(ほっ)ぺたも埃だらけ、いやな気持だ。これを書き終え

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • パンドラの匣
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1973(昭和48)年10月20日