しゃよう |
| 斜陽 |
冒頭文
一 朝、食堂でスウプを一さじ、すっと吸ってお母さまが、 「あ」 と幽(かす)かな叫び声をお挙げになった。 「髪の毛?」 スウプに何か、イヤなものでも入っていたのかしら、と思った。 「いいえ」 お母さまは、何事も無かったように、またひらりと一さじ、スウプをお口に流し込み、すましてお顔を横に向け、お勝手の窓の、満開の山桜に視線を送り、そうしてお顔を横に向けたまま、またひらりと一さじ、スウプを小
文字遣い
新字新仮名
初出
「新潮 第四十四巻第七号~第十号」1947(昭和22)年7月1日~1947(昭和22)年10月1日
底本
- 斜陽
- 新潮文庫、新潮社
- 1950(昭和25)年11月20日