ばくまついしんかいこだん 09 きのえねどしのだいこくのはなし
幕末維新懐古談 09 甲子年の大黒のはなし

冒頭文

話が少し元へ返って、私の十二の時が文久三年、十三が確か元治(げんじ)元年の甲子年(きのえねどし)であった。この甲子年はめったには来ません。六十一年目に一度という……それでその時の甲子年には、大黒(だいこく)の信者はもとよりのこと、そうでないものでも、商売繁昌の神のこと故、尊信するもの甚(はなは)だ多くして、大黒様をその年には沢山にこしらえました。 そして、その大黒さまを作る材であるが、そ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 幕末維新懐古談
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 1995(昭和30)年1月17日